2020.09.25 カテゴリ: 海運ニュース
【国交省】船員の働き方改革の実現に向けて
国土交通省では、平成31年2月より、交通政策審議会海事分科会船員部会において、今後の船員の働き方改革の実現に向けた方向性について議論を行ってきました。
この度、その結果をとりまとめた「船員の働き方改革の実現に向けて」を公表します。
〇 急激な少子高齢化による生産年齢人口の減少に直面する我が国において、海上輸送を担う優秀な船員を継続的に確保していくためには、
船員という職業を若者や女性を含む幅広い層にとって、働きやすく、魅力ある職業へと変えていく必要があります。
〇 こうした中、交通政策審議会海事分科会船員部会では、平成31年2月より1年以上にわたりまして、船員の働き方改革の実現に向けた
方向性について議論を重ねてまいりましたが、今般、これまで議論してきた結果をとりまとめました。
〇 今後、本とりまとめに基づき、船員の働き方改革の実現に向けた取組みについて、関係者と協力しつつ、積極的・総合的に進めてまいります。
・船員の働き方改革の実現に向けて(概要)
・船員の働き方改革の実現に向けて(本文)
世の中の働き方改革を受け、ようやく内航海運もそちらの方向へ舵を切りましたが交通政策審議会海事分科会船員部会委員の名簿を見てガックリです。この中に内航船員経験者が何人いますか?

労働者委員の全日海の方々も中には船員経験ある方もおられるかもしれませんが、内航の主流である749以下タンカー 499以下貨物船は経験ないと思います。あったらすみません。ただ、組合船の749以下タンカー 499以下貨物船と未組織では、全く違います
経験してない、あなた方に何がわかる?と言いたいのではなく、リアルな現場の意見を上げてもらわないとピントがズレるのではないかと心配しています
現場の声として、参加できないので勝手に見解書きます
1.船員を取り巻く状況の変化と働き方改革の意義
・モテる職業、儲かる職業、いつか・・・と夢がある職業にすれば、向こうから勝手にやってきます。
美容師や人気ラーメン店の店員、吉本の若手芸人、皆いつか独立して儲けてやろう モテようとするから低賃金でも必死にがんばります。もちろん多くの人が淘汰されますが、そのいつかがないのが内航船員。
船長、機関長になれば、高卒でも年収1000万2000万と言う夢がない。
いつかは船主と内航船員でも船主になることは可能です。実際、船主になっている人は、何人かいます。
ただオススメは、出来ないのが内航海運業界です
・499、749の5人体制では、色々難しい面もありますが女性船員の活躍の場を広げる事は、大事だと思います。
2.船員の労働や船内生活の実態
--内航船員は陸上労働者と比べて労働時間が長い傾向にあり、また、長期連続乗船といった厳しい就労環境下に置かれている。
大手オペ、組合船員でさえ内航で6ヶ月乗船 法定ギリギリの9ヶ月連続乗船 暗黙のそれすらオーバーと言う実態調査をするべきではないでしょうか?SNS上にも多く、そう言った現状は見られます。
割合としては、未組織の方が休暇消化率は、良いと思います。
--仮バースが週に1回程度確保されている場合には、1週間あたりの労働時間が法律上の上限である72時間の範囲内におさまるケースが多くみられる。
週イチどころか、月イチも仮バースさがない船も聞きます。また特にエンジンの方は、仮バースだからこそ出来るメンテもあります。
ですので上記の表現は、労働時間と言うより船の運航時間+荷役時間と言う意味です
--船員の労働時間について、大半の事業者(陸上の事務所)では、船内記録簿をもとに把握しているが、職住一体である船内では労働時間と休息時間の線引きが難しく、船内記録簿の記入の仕方にも課題がみられる
ほとんどの船が鉛筆ナメナメです。これは、傭船契約上 365日サブスクリプションですのでそうなります。労務官も運行スケジュール見せれば、「あぁ・・・」と閉口したと言う事例も聞いたことあります
--内航船員は高ストレス者の割合が高く、また、船員は陸上職と比べて肥満者やメタボリックシンドローム、疾病率が高いなど、高い健康リスクにさらされている。
内航船員のストレスは労働によるものは少ないです。ほぼ閉鎖社会の人間関係によるもの。毎日ご近所トラブルがあると想像すればわかりますか?
メタボや肥満 これは、船員に限らず個人の問題で足し算と引き算の話。食ったものに対して運動すれば良い
3.労働時間の範囲の明確化、見直し
ここが一番重要
一般的には499,749 5人体制 でもこれじゃあ荷役ノータッチじゃないと基本的には労働時間守れません。
荷役は荷役会社と言う当たり前の状態にしないと、ほぼ最小定員で運航している749,499以下クラスの小型内航船では実現不可能と言う事です。
さらに司厨長の労働時間を個食に割り当てたらどうなりますか?
4.労働時間管理の適正化
船員の労働時間の責任は、雇用主にあるが、それをコントロールできるのはオペ(配船者)である事を明確化し、1日14時間、週72時間の「上限」をオペ、荷主にも課すべきです
5.休暇取得のあり方
私の知る限り、乗船したら無期懲役のような事になっている大手オペの組合船の実態調査をしたら良いのではないでしょうか?
もちろん、ちゃんと休暇回っている組合船もいます。ただ、未組織船でも休暇消化100%なんて多くの会社である事です。
新卒の3年間離職率で言うと大手オペや組合船の方が採用実績から言うと多いと思います。
6.多様な働き方の実現
--女性活躍の推進、仕事と育児等の両立を図るための制度の趣旨・内容について、事業者の理解が十分でない場合がある。
これは、どの現場業でもそうですが、難しい反面 うまく活用している企業も多くあります
うまくハマれば、男性よりやる気のある方が多いように思います
7.船員の健康確保
--高ストレス者の割合が陸上に比して高く、特に内航船員の割合が高い
船員の給料は、たしかに我慢料とも言えます。ただ、陸上に比べ圧倒的に自殺者がいない。それを何故か考えたことがありますか?
--肥満者やメタボリックシンドローム、疾病率が陸上職と比して高く、健康リスクが高い。
499クラスでは、個食割合が増え、健康の問題もあります。ただ、それはサラリーマンも一緒。一人暮らしのサラリーマンに会社が、野菜食べなさい、運動しなさいと言わんでしょ。
メタボや肥満、ライザップに行かなくても船に乗りながらいくらでも運動できます(当直に影響ないようにしてください)
8.船員の働き方改革の実現に向けた環境整備
○ 働き方改革を着実に進めるため、関係者による取組を実効あらしめる環境整備が必要。
現場経験ない人がいくら議論しても駄目。今回ネットを通じでアンケート調査という新しい取り組みがありましたが
2万数千人の内航船員のピックアップ調査としては薄いと思います
○ 若者等の定着を図るためには、適正な就業機会の確保等を図るための環境整備が必要。
モテる、いい車乗れる、お金ある。若手のうちは、それが魅力です。
そして金銭教育も必要です。独身であれば、新卒で船乗って5年で1000万貯金なんてちょっと頑張れば出来る事です。
20代でレクサスや外車の良いクラスに乗ることも普通に可能です(それがカッコいいかは別ですが、船乗りの立場で恋愛のハンデを埋める事は可能)
--求職者本人の希望に即した的確なマッチングの推進、求職者の就職後のトラブルの未然防止(例:求人票に明示する情報の充実化、求人申し込みの不受理の範囲拡大等)
全ての元凶は、ここ。海運局のキオスクのミスマッチ。
20代30代40代50代で3.4.5級クラスで経験ありであれば、求職出せば1日数十件電話が鳴ります。
そして、その引く手数多から見事にハズレを引く人が多いのもSNS上で良くみます。
恨みつらみ書いてますが、それだけの見る目がなかったとは気づかないまま、また次のハズレを引いていくと言うループにハマる人が多いように思います。
そして、船主側も見事にハズレくじばかりを引き、雇いたい人材と、船員が行きたい会社のミスマッチが起こっているのが海運局のキオスク。
これは婚活にも似ていると思います。条件優先だからこそ出会えない。
実力ある人は、その会社を辞めたとしてもいろんなとこから声がかかる。迷惑かけたくなく、それが嫌で求人出す人もいますが、確率としては10人に一人の割合くらい。
そしてその先にあるのが、この会社は良いと思って入ったが乗船したメンバーと合わない場合。もうここまで来ると運です。
大恋愛して結婚しても離婚する世の中です。
499クラス 全国から育ちも、年代も、食ってきたものも違う男5人が衣食住、職を一緒にしてうまくいくのが奇跡
船員の給料は我慢料の部分が多いと思いますし、ストレスも多いが自殺が少ないのは、今日辞めても明日から同等の給料の職場がある。
そして気遣いや我慢を無理してする必要がないのが今日辞めても明日から同等の給料の職場がある。
ですので、真面目な人が埋もれてしまう。これは業界の駄目なところですが、給与は相場ではなく、できる船長、機関長はもっと貰える業界になって欲しいと思います
船でも省エネ船、高いメンテナンス船 省エネじゃない船、低メンテナンス船、事故率高い船 どれも結局、評価(用船料)は一緒
評価基準が難しい面もありますが、頑張っている人が報われる業界であって欲しいと思います。
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