2021.02.15 カテゴリ: 船乗りが考える家づくり
舶用エアコンについての一考察
先日、7年目に入った進宝丸の各居室エアコンを換装しました。
ボートデッキハウス側に二段置きに室外機6台設置しているうちの中段3台を交換しました。
この3台は居室6部屋分のマルチエアコン 室外機1台で2台の室内機。


壊れてはいないのですが、室外機底板がボロボロで底抜けが時間の問題。
底抜け三兄弟



この船は、バラ積み船なので積み荷、揚げ荷後は、ほぼ毎航海、高圧清水洗い(ハウス周り)をしています。
ですので除塩は、比較的行っている方だと思いますが、中段だけ、ボロボロです。
下段と操舵室用エアコンの底板は、まだキレイ。
操舵室背面の室外機

まだまだキレイです

ボートデッキは、潮風を巻きます。中段に置くことで常に潮風に当たっている状態だったと推察できます。
室外機室を作る船もいますが、私個人の考えでは、そのスペースを居室にして育成の事を考えた方が良いのではと考えます。
また熱原理からいっても空冷の室外機を室内に置いて強制ファンで空冷することは効率が悪いのではないかと考えます。
当初、室外機の底板を交換できる話を聞き、メーカーに見てもらったところ、技術的には可能だが
これだけ錆びていると、交換の手間を考えたら換装くらいの費用がかかるとの事でした。
次に、室外機だけの交換を問い合わせたところ、モデルチェンジが2-3年サイクルで行われており、同じタイプが残ってないとの事
また、新機種と旧機種の互換ができないとの事で昨年9月のドックでの修理は諦め、この冬を迎える事となりました。
そして、そこへ、今治エールプロジェクト内航船員労働環境対策事業費補助金が使えるとわかり
船員の居住環境改善に資する設備の導入等に係る経費・各部屋で温度調整が可能な空調機の設置又は取替えに要する経費
今回、換装となりました。


旧室外機とサイズが変わっています

耐重塩害仕様です

塩害仕様には「耐塩害仕様」と「耐重塩害仕様」がありますが室外機の塗装だけでなく、基盤等も塩害対策になっているとの事ですが
金額は、通常品にくらべ倍くらい違います。
ただ、陸の海風とちがい、海上なので何らかの対策をしないと製品寿命が縮みます。
潮風の直風(巻き込み風も含め)があたりにくい地べたに設置する。
可能な限り、再塗装して防錆するなど対策が必要です。
底板を制するものがエアコンを制すると言っても過言ではありません

ここで舶用エアコンについて考えてみましょう
まず、舶用エアコンには、海水冷却を使ったパッケージ型エアコン(全館空調)、各居室で温度調整ができる空冷式のビルエアコン、家庭用エアコン(マルチ)を利用した各居室エアコンがあります。
それぞれ、メリットデメリットがあり総合的に選択するのが賢明だと思います。
パッケージ型エアコン
〇メリット
・基本的には標準仕様
・空気も強制的に循環される
・ガス抜けなど中長期での故障はあるが、基本的には壊れにくい
・トイレ、廊下、脱衣所なども冷暖房が効く
■デメリット
・夏寒く(冷えすぎ)冬暑い(効きすぎ)
・各部屋で調整できず、ダクトの距離、階数によって温度差がある
・換装の際には大規模な修繕費がかかる
・海水冷却なので定期的な掃除が必要
・強制循環なので匂いも循環する
ビルエアコン
〇メリット
・室外機1台で各居室など温度調整ができる
・200Vが使え、合計消費電力を抑えられる(停泊時の電力負荷)
■デメリット
・室外機が壊れると、全部使えない
・室外機の塩害リスク
・個別交換ができるモデルなら良いが換装となると多額な費用がかかる
・換気計画(経路)がないと空気が循環しない(CO2濃度上昇)
家庭用エアコン(マルチ)
〇メリット
・マルチだと200Vが使え、合計消費電力を抑えられる(停泊時の電力負荷)
・各居室で温度調整ができる
・ビルエアコンに比べ費用が抑えられる
■デメリット
・家電なので5-10年で交換・故障リスクがある
・1:1エアコンにすると停泊時の電力が足りない可能性がある
・壊れる前に室外機の塩害リスクがある(底板抜け)
・廊下、トイレ、脱衣所などに温度死角ができる
・換気計画(経路)をしないと空気が循環しない(CO2濃度上昇)
私が考えるハイブリッド舶用エアコン
空調室に家庭用エアコン&ファンをインバーター制御

〇メリット
・春や秋など冷房を付けると寒い時期 ただ送風だと暑い時期に緩やかな冷房ができる
・パッケージエアコンの故障と言えば、ガス抜けで、ファンが壊れる事は、ほとんどない。ガス抜けでエアコンが効かない時にバックアップとなる。
■デメリット
・冷房1台分追加費用がかかる
※注意点
・空調室壁面の断熱は強化する
・室外給気にはフィルターを付ける(第八三鳳丸 三鳳汽船 参考)

市販のエアフィルター

住宅関係は、最近進化していて、床下エアコンや階間エアコン、小屋裏エアコン、アメニティエアコンなど
普通の家庭用エアコンを利用した全館空調の世界になっています。
我が家も10畳用のアメニティエアコン1台 24時間運転で冬場は暖房19度設定で室温21-23度くらいを保っています。
夏場は冷房28度で全館冷房。 電気代はオール電化で真冬で1万いくかいかないか
住宅の話をすると長くなるのでここまで
もし、これから家を作る人がいましたら、住宅の勉強は必須です。
そして温暖な西日本ほど、ヒートショックが多いのが現実。
愛媛の冬は(家の中)寒いですと、ウクライナ人の女の子が言ってました。
日本の家で「交通事故の4倍以上」人が亡くなる恐ろしい理由
ボートデッキハウス側に二段置きに室外機6台設置しているうちの中段3台を交換しました。
この3台は居室6部屋分のマルチエアコン 室外機1台で2台の室内機。


壊れてはいないのですが、室外機底板がボロボロで底抜けが時間の問題。
底抜け三兄弟



この船は、バラ積み船なので積み荷、揚げ荷後は、ほぼ毎航海、高圧清水洗い(ハウス周り)をしています。
ですので除塩は、比較的行っている方だと思いますが、中段だけ、ボロボロです。
下段と操舵室用エアコンの底板は、まだキレイ。
操舵室背面の室外機

まだまだキレイです

ボートデッキは、潮風を巻きます。中段に置くことで常に潮風に当たっている状態だったと推察できます。
室外機室を作る船もいますが、私個人の考えでは、そのスペースを居室にして育成の事を考えた方が良いのではと考えます。
また熱原理からいっても空冷の室外機を室内に置いて強制ファンで空冷することは効率が悪いのではないかと考えます。
当初、室外機の底板を交換できる話を聞き、メーカーに見てもらったところ、技術的には可能だが
これだけ錆びていると、交換の手間を考えたら換装くらいの費用がかかるとの事でした。
次に、室外機だけの交換を問い合わせたところ、モデルチェンジが2-3年サイクルで行われており、同じタイプが残ってないとの事
また、新機種と旧機種の互換ができないとの事で昨年9月のドックでの修理は諦め、この冬を迎える事となりました。
そして、そこへ、今治エールプロジェクト内航船員労働環境対策事業費補助金が使えるとわかり
船員の居住環境改善に資する設備の導入等に係る経費・各部屋で温度調整が可能な空調機の設置又は取替えに要する経費
今回、換装となりました。


旧室外機とサイズが変わっています

耐重塩害仕様です

塩害仕様には「耐塩害仕様」と「耐重塩害仕様」がありますが室外機の塗装だけでなく、基盤等も塩害対策になっているとの事ですが
金額は、通常品にくらべ倍くらい違います。
ただ、陸の海風とちがい、海上なので何らかの対策をしないと製品寿命が縮みます。
潮風の直風(巻き込み風も含め)があたりにくい地べたに設置する。
可能な限り、再塗装して防錆するなど対策が必要です。
底板を制するものがエアコンを制すると言っても過言ではありません

ここで舶用エアコンについて考えてみましょう
まず、舶用エアコンには、海水冷却を使ったパッケージ型エアコン(全館空調)、各居室で温度調整ができる空冷式のビルエアコン、家庭用エアコン(マルチ)を利用した各居室エアコンがあります。
それぞれ、メリットデメリットがあり総合的に選択するのが賢明だと思います。
パッケージ型エアコン
〇メリット
・基本的には標準仕様
・空気も強制的に循環される
・ガス抜けなど中長期での故障はあるが、基本的には壊れにくい
・トイレ、廊下、脱衣所なども冷暖房が効く
■デメリット
・夏寒く(冷えすぎ)冬暑い(効きすぎ)
・各部屋で調整できず、ダクトの距離、階数によって温度差がある
・換装の際には大規模な修繕費がかかる
・海水冷却なので定期的な掃除が必要
・強制循環なので匂いも循環する
ビルエアコン
〇メリット
・室外機1台で各居室など温度調整ができる
・200Vが使え、合計消費電力を抑えられる(停泊時の電力負荷)
■デメリット
・室外機が壊れると、全部使えない
・室外機の塩害リスク
・個別交換ができるモデルなら良いが換装となると多額な費用がかかる
・換気計画(経路)がないと空気が循環しない(CO2濃度上昇)
家庭用エアコン(マルチ)
〇メリット
・マルチだと200Vが使え、合計消費電力を抑えられる(停泊時の電力負荷)
・各居室で温度調整ができる
・ビルエアコンに比べ費用が抑えられる
■デメリット
・家電なので5-10年で交換・故障リスクがある
・1:1エアコンにすると停泊時の電力が足りない可能性がある
・壊れる前に室外機の塩害リスクがある(底板抜け)
・廊下、トイレ、脱衣所などに温度死角ができる
・換気計画(経路)をしないと空気が循環しない(CO2濃度上昇)
私が考えるハイブリッド舶用エアコン
空調室に家庭用エアコン&ファンをインバーター制御

〇メリット
・春や秋など冷房を付けると寒い時期 ただ送風だと暑い時期に緩やかな冷房ができる
・パッケージエアコンの故障と言えば、ガス抜けで、ファンが壊れる事は、ほとんどない。ガス抜けでエアコンが効かない時にバックアップとなる。
■デメリット
・冷房1台分追加費用がかかる
※注意点
・空調室壁面の断熱は強化する
・室外給気にはフィルターを付ける(第八三鳳丸 三鳳汽船 参考)

市販のエアフィルター

住宅関係は、最近進化していて、床下エアコンや階間エアコン、小屋裏エアコン、アメニティエアコンなど
普通の家庭用エアコンを利用した全館空調の世界になっています。
我が家も10畳用のアメニティエアコン1台 24時間運転で冬場は暖房19度設定で室温21-23度くらいを保っています。
夏場は冷房28度で全館冷房。 電気代はオール電化で真冬で1万いくかいかないか
住宅の話をすると長くなるのでここまで
もし、これから家を作る人がいましたら、住宅の勉強は必須です。
そして温暖な西日本ほど、ヒートショックが多いのが現実。
愛媛の冬は(家の中)寒いですと、ウクライナ人の女の子が言ってました。
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